La maison-musée Maurice Ravel

すっかりパリも寒くなり、冬の気配がやって来ました。 バカンス明けから早速コンサートや美術館に行き、芸術を堪能しています。

今オルセー美術館でピカソの特別展があります。

 

中々日本でもお目にかかれない、伊藤若冲展も見に行き日本の美と細密な描写に感動しました。

 

オランダにあるゴッホ美術館へも行きました。 フランスで描いた物は殆どオランダへ持って来られたそうで、パリやアルル時代に描いた作品が沢山あり、ゴッホがフランスで色々な人の影響を受け作品のタッチが変わって行く様子が良く分かりました。

 

そして、最近の素晴らしい出来事はラヴェルの家へ行けた事です。

ラヴェルの家はパリの郊外にあります。部屋一つ一つの特徴を美術館の方が説明して下さり、何だかラヴェルとお友達になれたような感覚になりした。

 

ラヴェルの家は撮影禁止ですが、庭の写真は許可を頂きました。 バルコニーから見える素敵なこの景色が気に入り、向こうの山の方まで良く散歩したと言います。庭には紅葉や松も植えてあり、どこか日本らしさを感じる事が出来ます。

その当時、芸術家の間では部屋に浮世絵を飾ったり日本らしいオブジェなど置く事が流行って居たそうです。そう言えばモネの家にも浮世絵がありました。

ラヴェルは身長が低かった為、地下へ降りる階段はとても狭く、部屋にはお気に入りの香水や数々の置物が丁寧に並べられていました。

また壁紙を自分で描いたり、壁紙と椅子の柄を揃えたりと美的センスも素晴らしくとても素敵なお家でした。

書斎では当時のロシアの作曲家、ストラヴィンスキーやチャイコフスキーなどを聴いたり、ジャズが好きで良く聴いていたそうです。 ガーシュウィンともアメリカ演奏旅行の際に友達になったそうで、そう言われて見ると、ラヴェルの作品にはどこかジャズらしさを感じる作品もあります。

また、ボレロを作曲したエピソードとして似たようなモチーフをずっと続ける作品を作って欲しいと依頼を受けて作曲したそうですが、モネの大聖堂の連作や蓮の連作にもインスピレーションを受けていると言うことで、同時代の絵画からも影響を受け芸術はどこかお互いに共鳴し合っていると言う事を感じました。

そしてピアノの部屋へ行くと、ピアノの上はまた素敵なオブジェが沢山置かれていました。ラヴェルは蓋を開けずにオブジェがガタガタとするのを気にせず練習していたそうです。

ピアノは19世紀を代表する、フランスのエラールです。本当は許可を取りに市役所へ行かないと弾けないそうですが、少し弾かせて頂きました!ラヴェルが弾いていたピアノに触れるなんて!

美術館の方は音はメタリックだと説明されて居ましたが、タッチは軽く、少し触れると音が広がって行くようなピアノでした。 当時の音のイメージに少し近づく事が出来ました。

作曲中の楽譜を隠すクローゼットがあったり、部屋の細部にこだわり、色々なオブジェが丁寧に飾られているのを見ると何だかラヴェルという人の人間性がリアルになり、また曲の見方が変わって来ます。

本当に素晴らしい経験となりました。