オペラ座もストライキ

 

もう4月にも関わらず、気温が10度前後と寒い日が続きます。先日はCité universitaire Maison du Liban で無事に発表会が開催され、コロナやストで世の中が混乱して居る中でも、子供達は着実に成長して居る事に希望を見出だしました。

生徒さん達は発表会で達成感を感じ、自信を持ったのか上機嫌で、やる気が増している様に感じられます。

その後バレンボイム指揮、アルゲリッチピアノのコンサートへ行きました。

バレンボイムは歩くのもままならず、衰えに衝撃を受けました。あんなにタフだった人が、立ったり座ったりも時間が掛かり身体が思う様に動かない様子でした。

後から調べると、神経系の病気に罹ってしまったそうで、ピアノのリサイタルはもう不可能との事、ピアニストとしては引退されたそうです。

それでも今回はベルリオーズの幻想交響曲を暗譜で指揮されて居て、最後はアンコールにアルゲリッチと連弾を演奏してくれました。

あのバレンボイムの笑顔も忘れられません。病気になっても演奏する事が心から好きで、手を動かす事もままならないのに、指揮棒を持てばやはり本来のバレンボイムの姿がありました。

またバレンボイムの姿が見たいです。 観客の拍手はいつまでも止まりませんでした。

世の中には凄い人が居るな。丁度年金問題で真っ只中のフランスに居ると、ストをして居る方々と80歳過ぎて病気になっても仕事に魂を注ぐ人と、人とは色々だと考えさせられます。

そしてその後オペラ・ガルニエへ、ヘンデルのアリオダンテを観に行ったのですが、何とオペラ座でもストが決行されました!

音楽や芸術とストは無関係だと信じて居た私には、また衝撃でした。ただ、オペラ歌手やオーケストラの人達のストでは無く、舞台装置や衣装担当の方々のストと言う事でした。

オペラは音楽だけで無く舞台装置、コスチューム、演劇と総合芸術です。オペラ・ガルニエは音楽も去ることながら舞台装置や演出も素晴らしいので、それを楽しみにしてる方が殆どだと思います。私は10€でチケットを買ったので、文句はありません。

オプティマや上のカテゴリーの方はそれは残念だと思います。皆さんスーツやドレスなどお洒落をして来られて、きっと今夜の為に外国から来られた方も沢山居ると思います。

舞台装置も無く衣装担当もストの為、合唱の方は普段着で舞台に上がらなければならず、もはや観客の方がきちんとした服装で居ると言う状態です。

今日はストの為演奏会形式となってしまいました。と責任者の方が舞台で説明されて、ヤジが飛んだりと言う場面もありましたが、オペラ歌手始めオーケストラは、ストなんて無かったかの様な完璧にプロで素晴らしい演奏でした。

本当の演奏会形式と言うのは暗譜では無く、楽譜を見ながら立ち位置も大体同じです。今回は皆さん勿論暗譜で演技されて居て、まるで舞台装置があるかの様に感じられました。

しかし、宣伝の為のExtraitを見るとやっぱり舞台装置があると臨場感が全然違うとは思いました。

私はどんなにフランスへ長く住んだとしても、日本人ですのでストをする人の気持ちは良く分かりません。ストは絶対に人に迷惑が掛かりますので、色々な人の気持ちを踏みにじる事になります。ですが、ストをする人の気持ちも様々で正解が無いのも事実だと思います。

私は今回のバレンボイムや演奏家の方々を見て、音楽には凄い力があるんだと再認識しました。それを子供達も伝えていきたいとそれだけは確信して居ます。