毎日過ごしやすいお天気が続いていますね。
私は先日、日本から遊びに来ていた友人たちとPorter de pantinにある博物館、Musée de la musiqueに行きました。
地下鉄でこのポスターをよく見かけ、一度行ってみたいとずっと思っていました。 8区にあったサルプレイエルが無くなってしまい、こちらに新しく建設されたようです。 かなり大きなコンサートホールや、音楽博物館、夏限定の特設会場、カフェなどもありました。 コンサートホールではスペクタークルも行われているようで、パリにしては近代的な雰囲気でした。
Porte de pantinには、Conservatoire National Supérieur de Musique de Paris(パリ国立高等音楽院)があります。
これがあのコンセルヴァトワールか。。本当に才能のある真の音楽家が世界中から集まるところ。 夏休みで工事中でしたが、どこか神々しい。しっかりと目に焼き付けるように、帰りました。
Mesée de la musiqueには主にフランスで作られた鍵盤楽器や弦、管楽器がバロックより前のルネサンス時代から現代に至るまで展示されていました。
レッスンでは、初級のテキストが終わり次のブルグミュラーが終わり、中級に入る頃改めて音楽の4期の時代について説明しています。
「バスティン中級レパートリー」のテキストには時代別の楽器や建築、当時の人々の服装など、その時代にどのような特徴があったか書かれています。バロックと言えば装飾豊かな時代、音楽家は王が楽しむ為のオペラやダンスの曲など書いていました。
今回そう言った本でした見たことのない世界を肌で感じる事が出来、貴重な体験でした。
博物館の始まりはモンテヴェルディの話からでした。
モンテヴェルディはイタリア人の作曲家です。初めてオペラを作った人と言われています。その時代に作られたのがこの三角形の小さな鍵盤楽器Épinetteです。
製造は1575年ですので、バッハが生まれる100年以上も前という事になります。
机の上に置いて演奏する、四角い形のハープシコードもありました。
とても美しいです。弦が短いので音は弱く、歌の伴奏に使っていたと思われます。 弦楽器ではリュートやThéorbe、管楽器ではトランペットやCornetが展示されていました。楽器の音をガイドで聴くことが出来るのですが、ルネサンス時代の楽器はとても繊細な音でした。
そしていよいよクラヴサンが登場します。 ドイツ語ではチェンバロ、英語ではハープシコードですが、どれも少し構造が違うものの、同じ楽器です。 クラヴサンは鍵盤が2段のものが多いですね。 鍵盤のデッサンも綺麗です。
弦楽器では、ヴァイオリンよりも小さいPochetteという楽器が印象的でした。
ルイ14世がダンスする時に使っていたとありますが、リュリの曲で沢山使われていたのでしょう。映画にも出ていました。
管楽器ではバロック時代に作られたHautbois(オーボエ)やFlûte(バスフルートやテノールフルート)の音がとても気に入りました。いつまでも聴いていたくなるような奥深い響きで、ガイドからはラモーの旋律が聴こえて来ました。
そして弦を弾くウラヴサンよりも、強弱がつけられるPiano à queue(グランドピアノ)が誕生します。ピアノの原型を作ったのはイタリアのクリストフォリですが、フランスで初めてグランドピアノを作ったのはÉrardです。形はまだクラヴサンに似ています。音域もまだ狭いです。
製造が1791年ですので、フランス革命の2年後ですね。エラールはフランス革命から逃れる為にイギリスへ渡りますが、再びパリへ戻り、エラール社を設立します。そしてヨーロッパ随一のピアノメーカーへと成長します。 現在は工場もなくなってしまい、製造されていないので、残っている楽器はとても貴重です。1800年頃になるとショパンが愛用した事でも有名な、プレイエル社が現れます。 プレイエル社は、ショパンがパリで最初に演奏会を行ったホール「サル・プレイエル」の経営もしていました。
音域はもう現在と同じくらいですね。 そして、フランス革命が終わり王政制度が廃止されると、音楽家はサロンやコンサートホールで演奏をするようになるわけですが、その為ピアノ演奏もダイナミックさが求められるようになりました。指の柔軟性や筋力を鍛える為のトレーニング器具もあったようです。
音楽博物館は、オペラの誕生からロマン派まで、様々な楽器が展示されていて終始感動でした。その後オルガンや世界中の楽器の展示がありましたが、バロック時代までを掻い摘んで見ても、2時間近く掛かってしまいました。
バロック時代の音楽は気品に溢れていて、より好きになりました。管楽器の音も素晴らしかった、歴史の深さにも驚かされました。
今回見てきた事を、レッスンでも活かせたらと思います。